ご挨拶
ご挨拶
産業競争力懇談会は、2006年に企業の有志による任意団体として発足、その後、2015年に一般社団法人となり、一貫して、我が国の産業競争力の強化に資する多くのプロジェクトを国に提言してきました。長年に亘り、当会の活動にご理解とご支援を賜り、数々のプロジェクトにご尽力いただきました会員の皆様、関係各位に心より感謝申し上げます。
近年、世界は保護主義の台頭や地政学的リスクの高まりにより、国際秩序が大きく揺らいでいます。加えて、気候変動による自然災害の多発化や激甚化、エネルギー問題や食料問題など、複合的な社会課題が同時に進行しており、単独の企業や技術のみによる解決が困難な時代を迎えています。国内においても、少子高齢化に伴う労働人口の減少が進む中、国際的に見た学術論文の存在感の低下や、AIなど戦略分野における高度人材の不足が深刻化しており、我が国の科学技術・産業競争力の基盤が揺らいでいます。これらの課題は、企業の事業継続性にも深刻な影響を与えています。
このような中、企業には、社会の長期ビジョンを自ら提示し、実行することで、社会の持続性に資する新たな価値を創造する役割が求められています。産業競争力懇談会では、業界や産官学の垣根を超えた議論を通じて、不確実性が高く予測が困難な状況にあっても、国全体の産業競争力強化という大局的な観点から、批判を恐れず、先見性を持って大胆な提言を行うことを是としてきました。これまで、「第7期科学技術・イノベーション基本計画」への提言、また「日本が取り組むべき10のエマージングテクノロジー(先端技術)」を発表し、産業界・学術界・政府が一体となって我が国の産業競争力を強化する方向性を示しています。
産業競争力の強化には、「最先端技術から産業を育てる研究サイクル」と「大きな産業を育てるイノベーションサイクル」を廻していくことが重要です。このサイクルの両輪を機能させるために、産業競争力懇談会では会員企業やステークホルダーの皆様とともに、エマージングテクノロジーによる新たな産業分野の創出、具体的なテーマをもとにイノベーションエコシステムの検討を行う推進テーマ活動、その活動成果に基づく提言活動に取り組んで参ります。
今後とも、本会の活動を通じて、社会課題の解決に資する企業の価値創出に貢献して参りますので、皆様の更なるご支援、ご協力をお願い申し上げます。
一般社団法人 産業競争力懇談会(COCN)
理事長 古田 英範